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浅野 雅春; 吉田 勝
工業材料, 52(12), p.65 - 69, 2004/12
イオン照射・エッチング処理技術により得られた円柱状の貫通孔を持つ穿孔膜表面と孔壁面に、温度に応答して伸縮するゲル層を放射線グラフト重合によって導入し、温度変化に追従させてゲル層厚(孔径)を制御することで、目的物質を選択的に分離できる温度応答性多孔膜を開発した。エチレングリコールビスアリルカーボネートに基づく基材フイルム(50m厚)に6.19MeV/nのエネルギーを持つLiKrイオンを110Li ions/cmLiのフルエンスで照射し、次いで6M NaOH水溶液に浸漬し60Cで所定時間エッチングを行い、1.3m径の円柱状貫通孔からなるイオン穿孔膜を作製した。次いで、アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)水溶液にイオン穿孔膜を浸漬し、LiCo線源からの線を30kGy照射することで、イオン穿孔膜にA-ProOMeに基づくポリマーゲルを重量で1.1%化学修飾した。この膜の温度による孔のon-offスイッチング機能を知るため、0.1M KCl水溶液中、0Cと30Cの間で電流値を測定したところ、温度と孔のサイズの変化に追従して電流値は可逆的に応答することがわかった。
高橋 周一*; 吉田 勝; 浅野 雅春; 仲川 勤*
Polymer Journal, 36(1), p.50 - 53, 2004/01
被引用回数:4 パーセンタイル:12.7(Polymer Science)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは気体透過に対して、高いバリアー性を有している。そこで、高い透過性と選択性をPETフィルムに付与する目的で、イオン照射・エッチング処理技術を用いてナノサイズの孔径を持つイオン穿孔膜を作製した。PETフィルムは12m厚さを用いた。イオン照射はXeイオン(450MeV)を310ions/cmのフルエンスの条件で行った。エッチング処理は、6Nあるいは1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて、60Cで行った。6Nで120秒以上エッチング処理したイオン照射PETフィルムは、気体透過係数と気体の分子量の平方根の関係から、クヌーセン流れの膜であることがわかった。このことから、これらのフィルムの孔径は15nm程度と推察した。ちなみに、ナノ孔径測定機器(乾燥したヘリウムガスを用いた透過から測定)を用いて測定したフィルム孔径は、1.53.8(エッチング処理時間:120秒), 3.85.0(同:135秒)であった。
浅野 雅春; 玉田 正男; 吉田 勝; 大道 英樹; 片貝 良一*; Vetter, J.*; Spohr, R.*
GSI 94-1, P. 204, 1994/03
温度に対して孔径が変化するような機能性多孔膜を設計する目的で、高い放射線感受性をもつジエチレングリコール-ビス-アリルカ-ボネート(CR-39)と温度応答性をもつアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)のコポリマーフィルム(100m)をキャスティング法によって調製した。このフィルムは低温膨潤-高温収縮の応答性を示すことが分った。穿孔化はPbイオン(11.4MeV/n)を110ions/cmのフルエンスで照射したフィルムを60Cの6N NaOHで処理することによって行った。温度に対する孔径変化は(A-ProOMe/CR-39,70/30Wt-%)のフィルムを用いて0Cと80Cの温度で検討した。その結果、膨潤状態(0C)での平均孔径は1.8mであったが、収縮状態(80C)のそれは2.7mになることが分った。この孔径変化は可逆的であることも分った。